【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「だったら、欠けているより揃っていたって方が良いですよね。取り戻したいです。失ってしまった全部を」


全部があるうえで悩んで、苦しんで、答えを生み出した方が良いに決まっていると思う。そう自然に思える。


そんな私の言葉に、里佳子は吊り上がった縁取りの中のアーモンドのような瞳を全開にして見開いた。


「笑里、お前……感情が戻ったのか」


「ええ。どうやらそのようです。先程それに気付きました」


望む事、未来に楽しみを覚える事が幸せだと思える感情は、決して孤独を求めていては手に入らない。


簡単に分かる事だけれど、成が、里佳子が、燭が、そしてルイが側にいてくれなかったら気付かないまま、もしかしたら取り戻せなかった感情だろう。


「取り戻したからこそ思うのは、過去も、罪も『知らきゃいけない』のではなくて、心の底から『知りたい』という事です」


この心の成長が正しいのか、そうでないのかなんて悩んではいられない。だって、もう取り戻したのだから。その装備を身に纏い、私はいくらでも感じる事が出来る。


それこそが私の『楽しみ』だと、認める他無いのだ。