皆でご飯を食べて、ラボに篭もりきりの父には里佳子が無理矢理ご飯を届けて片付けて、私達は再び五人で食卓を囲む。
「だはは、笑里のオトンの驚きよう、スッゲー笑えたわ。研究室的なとこに入れなかったのは残念だけどなー」
「あのねー里佳子、あれは誰でも驚くでしょ。『オトン!飯食わねーとまた痩せるぞ!』とか言いながらバンバンドア叩いてさ」
先程ラボに食事を持って行った時の出来事を、成はふるふると笑いを堪えながら指摘する。
「あれじゃリカコのお父さんみたいだよね」
「ええ、ホントに。里佳子の家の様子が見えるようでしたね」
きっと、ああやって乱暴だけど賑やかに、里佳子は家族を呼んでご飯を食べるのだ。
私にはそれが経験の無い事で、あんなにバンバンとドアを無遠慮に叩くところを見てしまうとどうにも笑いがこみ上げる。
「何だよ!普通メシは皆で食うもんだろ!あれは出て来なかった笑里のオトンへの報復だ!」
「はは……!素敵な考え方だと思います。私にとっては父のいない食卓が当たり前だったけれど、本当はそうじゃないんですよね」
誰かと食べるのが当たり前、家族と食卓を囲むのが当たり前、なんて素敵な当たり前なのだろうか。
ほんの数時間前、成の話で凍り付いていた里佳子が嘘みたい。いつも通りまっすぐ直球しか投げられない里佳子がやっと見られて、心の中で絡まった糸が綻んだ気がする。



