【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「まさか、とは思いますが……成のお父さんは虐待を受けている被害者を診る機会が多い方、なんですか?」


「うん。そのまさか。アホらしいと思うよな。自分はそんな仕事ばっかりやってるのに、自分の奥さんが自分の子供、虐待してるなんて」


悲しい色が濃くなった成を見て、まさに鈍器で頭を殴られたような感覚に見舞われた。それはもう、ガツンと、盛大な音を立てて。


どんな気持ちで成を犠牲にしてまで妻を守ったのだろう。成が傷付くのを見ていて、同じように傷付く人々を診て来たのだろう。


「それに……笑里も会った事あるんだよ、俺の父親に」


「……え?」


会った事がある?いつ?どうして?……そのライン上に、私の真実が眠っている。なのに、思い出そうとすると頭がホワイトアウトして、ズキズキと痛む。


「ねぇ、一旦少し休まないか?俺、少し身体がまだきついんだ。皆も昨日からそのままなんじゃない?それに、笑里、もしかしてなんだけど体調悪いんじゃないの?」


今、全ての事情にそれとなく察しがついているらしい成は、自分も含め全員の披露に気を回し声をかける。


成や、体調不良の私は勿論、昨日から緊張感にずっと晒された里佳子や燭、もしかしたら、夜のメンテや充電をしていないかもしれないルイの全員の様子を、こんな状況でも成は拾う。


神様は、どんなに自分が傷だらけでも、その場の最良を見極めて、どんな時でも拾う人。