【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

ルイの、成を大切に想う酷く美しい、溜め息の出るような涙を、どうか成るが苦しまないようにと言葉の代わりに渇望していた。


その想いが、びりびりと電源が走るように繋がった手から身体に伝い、胸の奥に蓄積されて行く。


「大丈夫だよ。あの人も馬鹿じゃない。あの事件の後に学習したみたいで、致死に至るような事はしなくなったよ。あの人、医師免許持ってるし」


「だからと言って傷付けて良い理由にはならないし、当たりどころが悪かったら?人を傷付ける事に、そして、傷付く事に疎過ぎやしないかな?」


ずっと我慢していたのか、もう限界だと言わんばかりに燭が語尾を強めて怒り出す。


「成にとってその日々があまりにも日常になり過ぎている。ねぇ、もし同じ目に俺達の誰かが遭っていて、近い将来希望があるとする。そんな時、成はそれまで我慢しろと俺達に言える?じゃあ大丈夫だなって言えるのかな」


語尾が強まっていても一定な低音なせいか、その燭の怒りはとても静かで穏やかな冷たさを持っている。


けれど、燭の目は声とは裏腹に鋭利に成を射るように鋭く飛ぶ。


的に刺さるまでスピーディーに的確に、正に馬を駆り的を射る、彼の流鏑馬のように。