【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

成は、肺から息を吐き出すと、突然スエットに包まれていた上半身を露にする。


「お前!急にな……!」


それを真っ赤になって牽制しようとした里佳子の言葉は、成のその身体に無数に走る縫い傷により止まる。


「その日、近所で顔に痣のある俺に対して虐待の噂が上がったらしい。あの人のヒステリックが最高潮になってめった刺しだよ。今生きてるの奇跡ってくらいにね」


話している成より、見聞きしている私達の方が、胸の奥から気持ち悪さが込み上げるような感覚に陥りそう。


「うう」と唸った里佳子の背中を摩る燭も視線を成から逸らし、苦虫を噛むような表情。


「……母の犯した罪を、兄が被った。虫も殺せないような兄がね。兄は、母を愛してた。父もまた、同じでね。二人して無関心なふりをして愛してたんだ。俺への虐待及び殺人未遂を母から逸らすために、喧嘩してカッとなってやったと、全員で大嘘こいてさ、馬鹿みたい」


どこか遠いところを見ている成にとっては、今が私達にさらけ出された以上大した事が無い話のように、壮絶な過去が語られる。それは、淡々と。