「ちょっと、何団子になってるの?朝ご飯出来たから皆降りてきて」


朝の陽だまり、一つの塊になっていた私達に冷静に言い放ったのはクラスメイトの女子に間違った知識を教わったせいですっかりピンク色のエプロン姿が板に付いたルイ。


「おー!いい匂い!アタシら考えたら昨日から何も食ってねぇもんなー。腹ペコだわ」


そんなルイに突っ込む事さえ忘れて、里佳子はさっさと団子から抜け出すとドアの方へ歩いて行く。


「今日の朝食は米粉パンと、アンチョビポテトに、トマたま炒め。嫌いな物は無いよね?行こう」


ルイの底抜けに優しい笑顔に見とれてしまう。その間に、燭も立ち上がり、まだ身体が不自由な成に肩を貸している。


「ご飯が済んだらナル、隠し事全部吐いてもらうから。でもご飯が先。だから、せっかくまだ温かいのにそんな顔しないで」


そのルイの笑顔から淡い悲しみが滲む。成の方を見ると、成も同じ微笑みを浮かべていた。


守らなきゃ。傷だらけの神様を、私の記憶の穴から落ちる何かをずっと手を茶碗にして、自分は火炙りのような苦しい思いをしながらも取りこぼさなかった彼を、今度は私が。