【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜




バス停から数分歩き、高級住宅街の中でも大きな門構えの家の前で、私達は立ち止まった。


「うわぁ、思ってた以上にお金持ちな家だ。これはまた凄い」


思わず感想が零れたという表現が正しいのか、燭がその家の全貌が分からない白い壁を目の前に言葉を零す。


その白い壁に、私は恐怖心を覚えていた。夢に見た白い箱の外側にいるみたいで、囚われてしまいそうで、言葉が詰まる。


実際は成が生活の拠点にしている建物なのだから、こんな考え方は失礼な話だろうに、分かっていても恐怖心は拭えない。


「何かこの家嫌だ……ここは、寒い」


嫌悪を感じているのはどうやらルイも同じ。ルイは一歩下がったところでそう呟き俯く。


「お前に寒いとか暑いとかねぇだろ!変な事言うな!怖気付いてるだけだ!しっかりしろ!」


そんなルイを、里佳子が奮い立たせるように怒鳴りつける。里佳子だって震えているのに。


白い壁に阻まれた向こう側から、言い表せない嫌な物を、皆が感じているのだ。


「嫌な予感がするからこそ、確かめなきゃいけない。怖がってちゃ助けられないだろう?」


諭すように言った燭自身、音が伝わるくらいに大きく喉を鳴らし唾を飲み込んだ。あの言葉は、自身をも奮い立たせる為の一言だったのだろう。