おそらく、遠巻きに見ているうちの二組のグループはひとつに纏まるだろう。


あの話し合いの渦が終息すれぱ、後はスムーズに決まりそうなものだけど……多分、きっかけが無い限り何も動かない。


それを、大きな欠伸をしながら美樹が眺めていて、解決する気が無いのは良く分かった。


どちらにせよ私にはあまり関係は無さそうだし、あの話し合いがどうにかなるまで音楽でも聴いていようと鞄に手をかけた時、視線を感じているのに気づいて顔を上げた。


昨日のデジャヴだ。ルイが、私の事を家族のようなものだと言った時のように、クラスのほとんどが私を見ている。


「あの……何でしょうか」


「キミって本当に周りに興味が無いんだね。修学旅行、キミも行くんだよ、エミリ」


表情筋なんて全く動かさず、いや、実際にヒューマノイドロボットなのだから表情筋なんて無いけれど、とにかく、声だけは呆れた声色で、ルイが私に言い放った。


「もう一度聞いているから良く聞いていて。ボクはエミリと同じ班が良いって言ったの。まだ環境にも慣れてないし、少しでも顔見知りと一緒が良いし」


きっかけが、出来てしまった。でもこのきっかけは、動くには最悪なきっかけだろう。