【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「じゃあラスト笑里、お前の進路発表!」


その空気を打ち破ろうと、里佳子がノートを丸めてマイクに仕立て、私へと向ける。


進路、やりたい事、望み……何も浮かばない。未来が見えない。


「考えて、いません。何も浮かびません。将来に希望なんて、私には無いです」


「ハァ?何だそれ。別に将来何になりたいか聞いてるんじゃねぇよ?アタシみたいに仕事決めてる奴の方が少ねぇだろうし。でも、もう二年の二学期も終わるんだぞ?大学進学か専門進学か、就職か、何か考えてんだろ?お前しっかりしてんのに」


抜けていた訳じゃない。勿論高校入学から今までより今から卒業までの方が短いから今後の展望をしなければならないのは理解しているのだが、出来ない、というのが正しいのだろう。


「エミリには多分、それを考えるのは難しいんじゃないかな」


混乱する頭の中、ルイが鳥の囀るような美しいハイトーンボイスを小さな唇の奥から鳴らす。


「そうか……望むことは、感情に繋がっているんだ。喜怒哀楽でいう『楽』は今後の『楽しみ』に繋がっているからね」


ルイの言葉の意味をすぐに理解し解釈した燭は、分かりやすく噛み砕いて説明した。


罪を犯し、悲しみや怒り、喜びを奥底にしまい込んだ私は確かに、将来の希望も失っていた。


つまり、今後を考えられるようになったら、また一つ、感情を取り戻す事になるのだ。