【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

一年生の時から同じクラスだった燭が特進クラスを差し置いて学年一位なのは知っていたが、まさか、その燭より出来る人がいるなんて思わないし、それが成だとは考えも付かない。


「し、失礼しました成様!どうかアタシに数学教えて下さい!」


「あはは、掌返すのはえーな里佳子。俺は構わないけど、俺よりルイに聞いた方が良いかも。ルイは分からない問題、無いだろう?」


数学が出来る事を成の事だからネタにするだろうと思っていたのか、肩透かしを食らったルイは「え」と機械的な音を出す。


確かに、ルイはヒューマノイドロボットだから頭が良いとか悪いとかそういう概念ではなくスーパーコンピュータを駆使してしてテストに挑むだろう。


とどのつまり、向かうところ敵無し状態なのだ。コンピュータに、人間の考えた問題等難しい訳が無い。


「確かに、ボクは正直言うと分からない問題も無いだろうから『テスト勉強』の必要は無い。寧ろ、あまり良い結果にならないように間違う事を考えているから、君達の勉強を見て間違う傾向を学んだ方が良いかもしれないね」


しかし、ルイの答えは想像の遥か斜め上。呆気に取られ、数秒沈黙する。


「……はは、嫌味じゃないだけに責められないじゃんか」


ようやく声を放った成は、オブラートに包むこと無く現状を冷静に告げたルイに苦笑してお手上げのポーズを取った。