【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「おー?なんかクラスがあったまってるなぁ。何だ?成が新しい一発芸でも披露したのか?」


「ちょっと!ミッキーの中での俺って何?違うよ、ルイが面白かったんだからね!」


無気力な担任美樹の登場で、クラスメイトがそれぞれの席へと戻る。


嶋山成がまだこの状況を解析しているルイを席へと誘導している姿を横目に、バランスがギリギリのところで取れているこのクラスの実態が目に見えた。


御堂里佳子を筆頭に、この小さな学校社会の頂点に立つ女子グループが支配するクラスを、嶋山成という無自覚で頂点の中の頂点に立つ人物が和らげている、という実態。


御堂里佳子のグループは昨年数人を不登校へと追いやった悪名高い生徒の集まりだ。


けれど、二年に上がった今は嶋山成やその取り巻きのおかげで不登校になった者は一人もいない。


また、今年度からの新任の無気力な担任美樹が案外鋭い人間で、洞察力が鋭いのか上手くこのクラスのバランスを保つところがあるのだ。