父は、私が忘れているその真実を多分ずっと知っているのだ。


その父が造り出したルイ。ルイが現れてから見るようになった夢。やはり、忘れていた真実や捨て失せていたようで奥に隠していた感情とルイは関連しているのかもしれない。


「思い出します。私は思い出さなくてはいけないのですから。閉じ込めたままではいけないと知ったから」


私の罪を知ってなお傍にいてくれる人達に、思い出す事で誠意を示す必要がある。今のままじゃ結局罪から逃げていると、気付いたから。


「でも、無理はさせないから。エミリにとって不要だと判断した時、その時はボクが止めるから」


「そうか……それがルイの見出した『意思』なんだね。プログラムなんかじゃない、君自身から生まれた」


父の問いに、ルイは迷いなく頷いた。


それに対して父は、複雑そうな心境が見えるような微笑みを向けた。それ以上、何を言うでもなく。


「エミリ、早く朝食を済ませて学校へ行こう。遅刻してしまう」


「は、はい。そうですね」


父がルイを生み出した目的、ルイという一つの生命体の生きる意味は、まだ私の忘れた真実と同様謎に包まれたままだ。