「大丈夫?呼吸が乱れてる。顔色も悪いね」
「平気です。期末も近いし、学校にはちゃんと行きますから……」
ルイが穏やかな高音で私に心配の声をかける。ルイもまた、私の身体の一部のような存在で、ヒューマノイドロボットなのに大事な友で、大事な家族。
失いたくないのは彼もまた同じ。でも、変りゆく彼がいつか心を全て『覚えた』日、私から離れないと言いきれない、大事な友を信じられない自分に対してまた熱い何かがこみ上げる。
「笑里、もしかして君、思い出し始めているのかい?」
穏やかに微笑みを向けていた筈の父が、いつの間にか真面目な顔をして私の方を見ていて、そして、真剣な声で私に問う。
「何に対しての質問、ですか?」
「君が失った感情や、あの事件の事だよ。思い出して、いるんだね」
父の表情は悲しいような嬉しいような、どんな言葉で表してもしっくり来ない表情。
「それで良いんだよ。苦しくても、足掻いてもがいて思い出して。その先に何があっても」
父の言葉は重い。自分の愛した女性を自分の片割れの娘が殺し、そしてその娘を全てを知りながら引き取った父の気持ち等、誰にも分からない事だろう。
「平気です。期末も近いし、学校にはちゃんと行きますから……」
ルイが穏やかな高音で私に心配の声をかける。ルイもまた、私の身体の一部のような存在で、ヒューマノイドロボットなのに大事な友で、大事な家族。
失いたくないのは彼もまた同じ。でも、変りゆく彼がいつか心を全て『覚えた』日、私から離れないと言いきれない、大事な友を信じられない自分に対してまた熱い何かがこみ上げる。
「笑里、もしかして君、思い出し始めているのかい?」
穏やかに微笑みを向けていた筈の父が、いつの間にか真面目な顔をして私の方を見ていて、そして、真剣な声で私に問う。
「何に対しての質問、ですか?」
「君が失った感情や、あの事件の事だよ。思い出して、いるんだね」
父の表情は悲しいような嬉しいような、どんな言葉で表してもしっくり来ない表情。
「それで良いんだよ。苦しくても、足掻いてもがいて思い出して。その先に何があっても」
父の言葉は重い。自分の愛した女性を自分の片割れの娘が殺し、そしてその娘を全てを知りながら引き取った父の気持ち等、誰にも分からない事だろう。



