【完】Ｒ・Ｕ・Ｉ〜キミに、ひと雫を〜

気が付いたら、私は冬に近付いてるというのに全身にじっとりと汗をかき、現実へと戻されていた。


「はぁ、何だったんだろう」


寝間着を変えないと眠れないくらいに汗をかいた不愉快な感覚に、無意識に歯をギリギリと噛み締めて音を立ててしまう。


さっきのこみ上げるような感情は、一体何だったのだろう。夢だというのに疲弊して、昂って、燻る。


呼吸をして身体を起こそうとすると、左手に重たい温もりを感じだ。


「ルイ……また、ここにいる」


この間夢を見た時もルイがいた。ルイが何らかの原因だと言うのだろうか。何故夢を見せるの？目的は？ルイは、何だというのだ。


スリープモードのルイは、決まった時間にしか起動しない。


固く閉ざされた瞼を撫でると、ルイはまた、その瞼からじんわりと温かい宝物を零した。


この、私に触れると零れるこれの意味も分からないまま。ルイには謎が多過ぎる。ただ一つ分かる事がある。


「ルイは、心を持つ度に泣き虫になるね」


そして、そんなルイの存在がどこか、私の代わりのような気がして大切に思えているという事だ。