そういえば、この間鎌倉でルイが私に何故と今疑問に思ってる事を聞いて来たな、とふと思い出す。
その時私は恋心は単純じゃないなんて言って諭したのに、私自身も何も分かってはいないではないか。
何だかそれが情けない事のように思えて、胸がカァ、と熱くなる。何に対して、どう思っているから熱いのだろう。
「笑里ちゃん?どうしたの?難しい顔してる。胸も押さえてるし、どこか調子が悪い?」
「いえ……あの、今私は自分に対して情けないと同時に、何か熱い感情があるのに気付いたので、苦しくて。それが何なのか、分からないうえに、燭と里佳子の事が理解出来なくて、何だかぐちゃぐちゃ」
言葉を放つ事すら労力がいるような気がして、喉に詰まる音を無理矢理奏でるのが億劫な気がして、だけど、理解出来ないから燭に伝えたいのに上手く行かない。
燭は俯く私の肩を大きな掌で優しく摩る。言葉は発しないで、あやすように、ゆるく、柔らかなストロークで。
「蓋をしていた感情が突然ぽっと現れて戸惑っているんだよ。大丈夫。焦らなくても取り戻せるから、俺の事もリカちゃんの事も、君は今は考え無くて良いよ。俺も、ちゃんと考えているから」
燭の、低く落ち着いた声が私の心の熱を鎮めて行く。それは例えるとすれば雪がヒラヒラと舞い落ちるような優しげな冷たさを持った音。
その時私は恋心は単純じゃないなんて言って諭したのに、私自身も何も分かってはいないではないか。
何だかそれが情けない事のように思えて、胸がカァ、と熱くなる。何に対して、どう思っているから熱いのだろう。
「笑里ちゃん?どうしたの?難しい顔してる。胸も押さえてるし、どこか調子が悪い?」
「いえ……あの、今私は自分に対して情けないと同時に、何か熱い感情があるのに気付いたので、苦しくて。それが何なのか、分からないうえに、燭と里佳子の事が理解出来なくて、何だかぐちゃぐちゃ」
言葉を放つ事すら労力がいるような気がして、喉に詰まる音を無理矢理奏でるのが億劫な気がして、だけど、理解出来ないから燭に伝えたいのに上手く行かない。
燭は俯く私の肩を大きな掌で優しく摩る。言葉は発しないで、あやすように、ゆるく、柔らかなストロークで。
「蓋をしていた感情が突然ぽっと現れて戸惑っているんだよ。大丈夫。焦らなくても取り戻せるから、俺の事もリカちゃんの事も、君は今は考え無くて良いよ。俺も、ちゃんと考えているから」
燭の、低く落ち着いた声が私の心の熱を鎮めて行く。それは例えるとすれば雪がヒラヒラと舞い落ちるような優しげな冷たさを持った音。



