【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜

「笑里ちゃんとリカちゃんってそんな話する程仲良くなってたんだね。俺、びっくりした」


「それを聞いたのは修学旅行前ですよ。里佳子の独り言を聞いた感じで知ったのですが」


本当は独り言なんかじゃなくて、誰かに、いや、私に聞いて欲しかった確かな言葉だったのだけど、本人は独り言と言っていたから、そういう事にしておく。


燭はその里佳子の意図的な独り言の状況をすぐに察し、優しげに眉毛を下げてため息を落とす。


同級生なのにそんな仕草すらも大人びていて色っぽく感じるのは何故だろう。ルイや成にはこの表情や仕草は到底出来やしない。燭だけが出来る事なのだろう。


「俺はね、今でもリカちゃんの事がちゃんと好き。今までもこれからも、揺らぐ事は無いんだと思う。……これは、俺の独りよがりな気持ちでしかないけどね」


どう見たってそんな事は無いのに、想いは同じなのに、どうして当人達はそれに気付けないのか、私には分からない。


その感情は、まだ私には取り戻せていないから分からない。