「自分が殺した人の墓を目の前にしても、涙のひとつも流れません。私はそんな汚い罪人。貴方達といる資格なんて、無いんですよ」
だからそっと離れて欲しい。私を蔑んで、明るい温かな世界から蹴落として欲しい。
なのに、振り返るのが怖い。そうされるのが怖い。何て矛盾だらけで卑しいのだろう。
古びた墓石に刻まれた母の名前を何の感情も無く見つめていると、ふと、隣に温もりが舞い降りた。
「ルイ……」
「これをボクは何と呼ぶべきか分からないけど、ボクは痛い。エミリに触れると痛くて止まないよ」
ルイが右側にいるから自然と触れる私の右手とルイの左手。そして、見る事の出来る左の頬。
「どうしてルイは泣き虫に造られてしまったんですか?」
「キミが泣かないから。だから、ボクは泣き虫なんだよ。でも、キミが泣かないからボクが泣くのに、ボクはキミが笑わないと笑うことが出来ないみたいなんだ」
ホロホロと零れる大切な何か。それは、私のものじゃなくてルイのものなのに。
だからそっと離れて欲しい。私を蔑んで、明るい温かな世界から蹴落として欲しい。
なのに、振り返るのが怖い。そうされるのが怖い。何て矛盾だらけで卑しいのだろう。
古びた墓石に刻まれた母の名前を何の感情も無く見つめていると、ふと、隣に温もりが舞い降りた。
「ルイ……」
「これをボクは何と呼ぶべきか分からないけど、ボクは痛い。エミリに触れると痛くて止まないよ」
ルイが右側にいるから自然と触れる私の右手とルイの左手。そして、見る事の出来る左の頬。
「どうしてルイは泣き虫に造られてしまったんですか?」
「キミが泣かないから。だから、ボクは泣き虫なんだよ。でも、キミが泣かないからボクが泣くのに、ボクはキミが笑わないと笑うことが出来ないみたいなんだ」
ホロホロと零れる大切な何か。それは、私のものじゃなくてルイのものなのに。



