翌日、目を覚ますと里佳子が隣で寝ていて、もうひとつのベッドは既に空いていた。


「ルイ、もう部屋に帰ったのかな……」


昨日のこと、ルイはどこまで覚えているのだろう。今日は、皆にルイの口から説明をしてもらわなければならない。


「……んー、はよぉ。今何時ぃ?」


考え事をしていると、里佳子も私が起きた気配からかだるそうに瞼を開いた。


「おはようございます。まだ六時です。あと一時間半くらいありますから、時間になったら起こしましょうか?」


「やー、化粧しなきゃだし起きるわー」


のそっと体を起こした里佳子は、歯ブラシを持って洗面台へとゆるゆる歩く。


低血圧なのだろうか、里佳子は元々白い肌が更に白く、おまけに青みがかっている。


里佳子が洗面台を占領している間に着替えてしまおうとジャージを脱ぐと、昨日崖から落ちた時に擦りむいた傷が手足に浮かんでいるのが目に映る。


ルイのことがあってふっ飛んでいたけれど、決して忘れてはいけない。


私は無理して参加する必要のなかった修学旅行に、罪を確かめる為に来たことを。