「おーい、御堂のばーか!助ける人数増えたじゃん!どーすんのー?」


「うるせー!嶋山のばーか!こっちは笑里が笑ってんの喜んでんだ!その間に方法考えな!」


割と危機感を感じなければならないこの状況で、あまりにもいつも通りな二人の会話に、綻んでしまった顔がなかなか治らない。


「はー!?ズルイ!俺の前でも笑って片岡!……って、おい!?」



いつもの調子を崩さず、冗談なんだか本気なんだか分からない嶋山成の言葉を遮る、素早く動く黒い影。


なんとなく、それを嶋山成が呼び止めたように見えて、私と里佳子は肩を寄せて固唾を飲む。


その黒い影は私達の方に落下して来て、だんだんと見慣れた姿形として私達の元へと向かってきた。


膝をついてまるでハリウッド映画のヒーローように降りたのは、紛れもなくルイで。


「んな……ずっと思ってたけど、お前ってホント、一体何なの?」


普通の高校生の男子では、あの崖の上からここまであんな風に降りてくるなんて有り得ない。


里佳子はルイを、確信を持って自分とは違う何かだと言うように、ルイに問いかけた。