あると苦しい気持ちがもっと苦しくなるから笑顔を捨てた。


笑顔を捨てたら悲しい気持ちも一緒に失った。


喜びと悲しみを失ったら、誰へぶつけるべきか分からない怒りも消え失せた。


そうすると、未来への楽しみを考える機能がボロボロに朽ちて行った。


喜怒哀楽を失った私が求めたのは、ロボットのように組み込まれた人生だけ。


組み込まれた思い出のプログラムに則ってその場を凌ぐだけの人生で満足していた。


なのに君は、まるで私の必要の無いものが必要かのように空っぽの身体に吸い込んで、私の代わりに泣いてくれるんだ。


偽物の筈の君の温もりが、私の失った温度さえも全て取り戻して行くのが、いつの間にか怖くなって、信じたくないものを胸の奥に灯して行く。


ねぇ、君の涙は本物ですか……?