栞理も本格的に川上君を狙い始めたようで、最近はメイクにも気合が入っているのがよくわかる。


あたしは今日何度目かになるため息を吐き出した。


最近、あたしはずっとこんな感じだ。


「ほら、行くよ菜月」


亜耶に言われてあたしはキョトンとしてしまった。


「行くって、どこへ?」


次の授業は移動教室でもないし、トイレはさっき行ったばかりだ。


「川上君と話がしたいんでしょ?」


「それは……そうだけど……」


立ち上がる亜耶に、焦るあたし。


「こんな遠くの方から見てたって会話はできないよ?」


「で、でも……あの中に入って行くのはちょっと……」


沢山の女の子たちに睨まれるのは目に見えている。


そもそも、あたしなんかが混ざるのは場違いだ。