公園に到着するまでの間に、あたしはさっき見た光景を女性に話して聞かせた。


女性は時折頷きながら、真剣にあたしの話を聞いてくれた。


そして草むらへと戻って来た時、そこにはリリ以外の姿はなかったのだった。


「あれ……どこに行っちゃったんだろう……」


キョロキョロと周囲を見回して亜耶を探す。


リリが落ち込んだようにくぅんと鼻を鳴らした。


「亜耶、どこかへ行っちゃったの?」


そう聞くと、リリは一回だけ吠えた。


「お友達、いなくなっちゃったの?」


「そうみたいです……。ここまで連れて来たのに、ごめんなさい」


あたしは女性に頭を下げた。


しかし女性は亜耶が座っていた場所へと近づき、そして顔をしかめた。


「ここ、血が付いているわね」


そう言い、地面を指差す。


見ると確かにそこにある草には血が付いていた。