「それとね、菜月」


亜耶に視線をやると、一匹のヘビが亜耶の体を這っているのが見えた。


「イレモノの寿命は10年から20年なの。ヘビをお腹で守ると言う事は自分の体力を極端に消耗させること。だから……」


途中で言葉が途絶えた。


ヘビが亜耶の指にかみついたのだ。


何度も聞いた粗食音が聞こえてくる。


「亜耶、血……」


「いいの。イレモノは、最後にはヘビの食料になる、ほっておいてもあたしはもうすぐ死ぬんだから」


「そんな……! まだ、今から病院へ行けば間に合うかもしれない!」


そう言うと、亜耶は優しく微笑んで左右に首を振った。


ヘビが亜耶の肩まで這いあがって行き、その目にかみついた。


血が噴き出し、亜耶の目が地面に転がった。