ヘビたちが出て行ってしまった後の亜耶は、その美しさのかけらも残っていなかった。


「どうして……ヘビを守るの?」


そう聞くと、亜耶は左右に首をふった。


「わからない。あたしも前のイレモノにキスをされてイレモノになったから。発生はわからない」


「亜耶は、いつからそんなことを?」


「あたしは小学生の頃からイレモノよ。キスをしてきたのは自分の父親だったから」


その言葉にあたしはメマイを覚えた。


亜耶の父親もイレモノだったのだ。


幼いころのキスはただのスキンシップだ。


でも、イレモノだと違う。


亜耶の父親は亜耶を次のイレモノに任命したことになるんだ。


川上君の中にヘビが入って行くと、川上君の腹部は自然な形状になった。


「君も、これから徐々にイレモノらしい見た目になっていくよ」


川上君に言われ、あたしは「どういう事?」と、聞き返した。