「い、いや……!」


咄嗟に逃げようとすると、川上君が「君は狙われない」と、言った。


「君は俺とキスをした。だから狙われない」


そう言われ、あたしは帰りがけにキスをされた事を思い出していた。


なんでキスをされたのか、あたしはまだ理由を知らなかった。


「イレモノにキスをされた人間は、次のイレモノになる。つまり、俺の寿命が来たら、次は君の番ってこと」


川上君の言っている意味がわからない。


イレモノにキスをされたら、次のイレモノになる?


それじゃまるで川上君が亜耶のように……そう思った次の瞬間。


川上君のアゴが外れ、その口が胸あたりまで開かれたのだ。


突然の出来事に一瞬呼吸が止まるのを感じた。


川上君の目は真っ白になり、ヘビを受け入れる体勢になったことがわかった。


ヘビたちは川上君と言う名前の新しいイレモノへと這い上り、そしてその口へと入って行く。


「このヘビたちは人間を食べてしまうの。それが世間にバレたらきっと殺されてしまう。だからあたしたちイレモノが存在していて、守っているのよ」


亜耶がそう言った。