あのヘビが怪我をしているんだろうか?


草むらへと姿を消すヘビに視線を送る。


ヘビの動きに妙なところはなく、怪我をしているようにはみえない。


「あのヘビ、なんて種類なんだろう……」


最初、公園で見かけたヘビも、亜耶に似た子を見つけたときにいたヘビも、ケンジ君が踏みつぶしたヘビも。


全部同じ色と柄をしている。


あたしは家に戻ると、そのまま一階の一番奥の部屋へと向かった。


四畳半の小さなフローリングの部屋はお父さんの書斎になっている。


お父さんは大学教授で、生き物についての研究をしている。


特に爬虫類系を専門としているため、狭い部屋の本棚にはズラリと爬虫類の図鑑が並んでいる。