足早に家に向かうと、玄関先でお母さんと警察の人が話をしている所だった。


「あら、おかえり」


不安そうな顔を浮かべたお母さんがあたしに気がつき、そう言った。


「ただいま」


そう言い、あたしは警察官2人を見る。


2人はにこやかにほほ笑み、警察手帳を見せて来た。


「今朝、矢野ケンジさんが河原で亡くなっていたのをご存じですね?」


「はい」


あたしはしっかりと頷いた。


ケンジ君の苗字は矢野っていうんだと、この時初めて知ってなんだか少し悲しい気持ちになった。


「少し話を聞かせてもらえませんか?」


「いいですよ。栞理!」


あたしは家の近くで様子を伺っていた栞理に声をかけた。


栞理はおずおずと近づいてきて、警察官2人とお母さんへ向かって会釈をした。


「昨日一緒に遊んでいた栞理です」


「そうですか。では、2人そろってお話を聞かせてもらっていいでしょうか?」


「……はい」


栞理は小さく頷いて、そう返事をしたのだった。