こうして並んで見ると思っていた以上に小柄な舞衣と優悟との身長差は20センチほど。
ワイシャツを掴む手も小さく指も細く、すぐにでも壊れてしまいそうな印象を持った。
あれだけ強く突き飛ばされてよくバラバラにならなかったな……という考えさえ浮かぶほどに華奢で、全体的に身体が薄い。
……が、今は舞衣がどんな華奢で小柄かを考えるよりも、まず関わりたくないというのが第一。
お願いがなんであろうがろくな事ではないのは直感で分かった。
男にも第六勘ってあるんだなと優悟が思う。
「断る」
「なんで! だって鍵奪われちゃったの、あなたのせいでしょ?!」
「俺には関係ない。それに、〝菊池のストーカー〟で有名な〝城ノ内舞衣〟となんか関わりたくねーから」
嫌そうに目元をしかめながらの優悟の言葉に、舞衣は驚いた表情を浮かべる。
「なんで私の名前知ってるの?」
「社内でも有名なんだよ。〝ストーカー女の城ノ内舞衣〟」
「……そうなんだ。ストーカー女……」
目を伏せた舞衣がぽつりとそうこぼす。
少し俯いた顔が悲しそうに歪んでいる事に気付き、優悟が納得いかなげに眉を寄せた。
秀一にあれだけズタボロに言われた挙句怪我までさせられた時には、平気な顔してたくせに、と。
あまりに悲しそうに呟くものだからなんとなく目が離せなくなっていると、伏せられていた舞衣の瞳が優悟に向けられる。
その瞳には今の今まで浮かべられていた悲しみはもうなく、明るい色を浮かべていて、その変化の速さに優悟が驚いていると舞衣が聞く。



