くりっとした丸い瞳に、小さな鼻と唇。栗色の髪は緩いウェーブがかかっていてふわふわと肩の上で揺れ、前髪は厚めに下りていた。
歳は、優悟より四つ下の二十二というが、その割に随分幼い。いわゆる童顔タイプだ。
童顔っつーか小動物だろ、と思いながら優悟が舞衣の姿を眺める。
噂にもある通り確かに可愛らしい容姿はしている。小柄と童顔ってだけで守ってやりたいという気になる男は多いだろうし、全体的に男受けしそうではある。
けれど、そこまで騒ぐほどじゃねーだろ、と優悟が首を捻る。
というのもこの男の容姿も美形と言ってまったくもって問題ないほど整っているのだ。
切れ長の二重の瞳にすっと通った鼻筋、薄い唇。
さらっとした長めの黒髪は自然な感じで横に流してある。そんな髪のせいか性格のせいか、多少軽い雰囲気はあるものの、容姿に限って言えば高い割合の異性に好感を持たれると予想できる。
つまり、黙っていても周りの女が放っておかない優悟にとっては、いわゆる美女も美少女もそんなに珍しいものではなく、そのため舞衣を見ても驚くほどの可愛さという風には映らなかったというわけだ。
感想を言うなれば、まぁ、可愛いって言えば可愛いかもな、程度だった。
「それでいこうって、なんで……? だって昨日まで秀ちゃん普通だったのに……」
優悟が見定めるように眺めていた先で、舞衣が眉を寄せ表情を崩す。
忘れていたが何やら会話が怪しい。
修羅場というやつだろうか。



