「そういやおまえさー、菊池とどういう関係? ヤってんの?」
お風呂上がり。髪を拭きながら優悟が唐突にした質問に、ソファーに座りテレビを見ていた舞衣は真っ赤に染まった。
困ったような顔を浮かべながら、口をパクパクとする事数回。
結局何も言わない、言えない舞衣を見ながら優悟が笑う。
「ヤってんのか。なんか意外。おまえガキっぽいし」
濡れた髪をタオルで拭きながら言うと、舞衣は赤くなった顔を俯かせた。
さっきのしおらしさといい、今といい。
意外と女らしい顔もできんだなと、内心思ったのだが。
端にいくつかある間接照明くらいしかつけていない部屋は、変に雰囲気があり、そのせいかとすぐに思い直した。
ストーカー女が色っぽいハズがないと。
オレンジ色の柔らかい光の中で、舞衣がもじもじとしながら答える。
いつもの勢いは見当たらない。
「だって秀ちゃんが、しないと縁切るって言ったから……」
「縁? ずいぶんおおげさだな。まぁでも、付き合ってんならヤってても普通だろ」
「初めてしたのは、付き合う前だよ。それに……多分秀ちゃんは、私と付き合ってるとは思ってなかったみたいだし。ほら、会社で言ってたでしょ? 私の事……セフレだって」
「あー、そーいえば言ってたな。……そもそもおまえ、菊池のどこが好きなんだよ。俺が言う事でもないけどあいつ、結構ひどい男なんじゃねーの」
冷蔵庫を開け、水の入ったペットボトルを取りだしながら聞く優悟に、舞衣はソファーの上で自分の膝を抱え込むようにして目を伏せた。



