「だって、優悟は私がパンツパンツ言ってたって襲ってきたりとかしないでしょ。自分でモテるって言ったじゃない」
「それにしたって、もう少し気使えって言ってんだよ。
俺だって男だし、もしかしたら気が変わって手出す可能性だってないわけじゃねーだろ。その辺考えろって言ってんの」
「なんで? だって、優悟は別に放っといたってよかったのに、わざわざ泊めてくれるような人じゃない。
なのに警戒して気をつけなくちゃダメなの?」
眉を寄せ首を傾げる舞衣は、本当に疑問に思っているようだった。
こうも素直に疑問をぶつけられると、答えに迷う。
俺を警戒するべきかどうかを俺に聞くなよ、だとか。子どもじゃねーんだから、だとか。
出かかった言葉が喉の奥で詰まる。
逸らす事をせず本当にじっと見つめてくる舞衣の瞳に根負けしたのは優悟の方だった。
性質が悪いな、と思う。
こんな子どものまま育ったバカ正直で純粋すぎる人間とは今まで関わった事がないだけに対処におえない。
というよりも、今どきの子供だってこいつよりもずる賢いだろ、と優悟がため息をつく。
子どもも嫌いだが、舞衣よりはよっぽどいいかもしれない、と。
「んなの、知らねーよ。ほら、食うんだろ。座れ」
「あ、話逸らした」
「食わねーなら俺が食……」
「食べるよ。いただきます」
ばっと両手を合わせた舞衣が、優悟の向かいの席でメロンパンを頬張る。
パクパクとテンポよく食べていく姿を眺めて、さっきの疑問から逃げられた事に安堵のため息をついた。
真正面からのコミュニケーションは普段あまりないだけに得意じゃない。
だから舞衣の気が夕飯に移ってくれてよかったと思ったのだが。
舞衣が持つメロンパンのパッケージに目が留まって、優悟が顔をしかめる。



