ワケあり彼女に愛のキスを



自分のペースを崩されつつある事には気づいていた。
でも、どうせ明日には終わる事だし深く考えるのは面倒だ。……というか舞衣相手に考えをめぐらすのはとんでもなく無駄な気がする。

そんな風に結論を出した優悟の手がコンビニ袋の中から取り出したものは、舞衣の買った下着。
Mだとかブラックだとか書いてあるそれに口の端が引きつりそうになっていた。

「……自分のカバンに入れるなりしとけよ」

呆れて呟きながら、思わず苦笑いが漏れる。

関係ないのに、放っておくわけにもいかなくて連れて帰ったり。コンビニの中で大声出したり。
柄にもなく、ストーカー女を可愛いなんて思う失態を犯したり。

それが舞衣の存在のせいなのか、なにか変な気まぐれなのか。
分からないけれど、とにかく明日になれば舞衣は出て行ってそれっきり関わる事もないだろう。

そう、パッケージに入ったままのそれを見ながら、ため息を落とした時。

「――優悟、私のパンツが気になるの?」

優悟の肘あたりから舞衣がひょこっと顔を出した。
ニヤっとした顔で見てくる舞衣の顔に、持っていた下着を押し付ける。

「気にならねーよ。しまっとけ」
「え、気にならないの? あ、でもそっか。優悟、モテそうだもんね。コンビニパンツなんかしょっちゅうっぽいし」
「モテない事はねーな。でも、コンビニで俺に下着買わせたのなんかおまえが初めてだけどな。
コンビニパンツがしょっちゅうって、普通に考えておかしいだろ」
「あ、コンビニパンツばかにしてる。今のコンビニパンツはすごいんだよ? 値段のわりに……」
「説明すんな。ついでにパンツ連発すんな。……ちょっとは恥ずかしがれよ。ほとんど初対面の男の前で平気でパンツパンツ言ってんじゃねーよ」

もっともな注意を受けた舞衣は、納得いかなそうにむっと口を突き出した後、優悟をじっと見上げる。