ワケあり彼女に愛のキスを



「飲んどけ。シャワーの後、何も飲んでないんだろ」

行為が終わった後、優悟は舞衣に先にシャワーを浴びさせてそれから自分も入ったのだが。
優悟がお風呂場に行く前とまったく同じ場所、同じ体勢でいる舞衣に気付き、ペットボトルを差し出したのだった。
舞衣がためらいながらもペットボトルを受け取ると、優悟が自分の分のキャップを開けひとくち飲んでから言う。

「今日から俺がここで寝るから。おまえはベッド使え」

突然の言葉に舞衣が驚いて「え」ともらすと、優悟が目を伏せながら言う。

「おまえ、ここ来てからずっとソファーで寝てるし、そろそろちゃんとした場所で寝た方がいいだろ。だから」
「大丈夫だよ、このソファー大きいし、夜だってぐっすり眠れてるから」
「いいから向こうで寝ろよ。家主の俺が言ってんだからそれでいいだろ」
「よくないよっ。だってここは優悟の部屋で私は無理やり押しかけて泊まらせてもらってるのに……」

向き合うように体勢を変えた舞衣が言い終わるよりも先に、優悟が「いいから」と少し強い口調で言う。
その声の強さに舞衣が思わず言葉を失うと……。優悟はバツが悪そうに目元を歪め、片手で髪をくしゃくしゃとかいた。

大きく膝を開き、それぞれの膝の上に肘を寄せ、うなだれるようにしている優悟が目を伏せたまま「悪い」と呟く。
それが何に対しての事なのかを舞衣が計りかねていると、優悟が続けた。

「おまえは俺に借りがあるから、俺に強引にされたところで本気では逆らえないって分かってたのに……」

自嘲からか、優悟はわずかに笑みを浮かべたが……それはすぐに表情から姿を消した。
代わりに浮かぶ苦しさに、舞衣の胸がギュッと締め付けられる。