表情豊かな瞳が浮かべていたのは、紛れもなく優悟への想いだった。それがどういった想いなのか、恋愛なのかどうかも分からないが……それでも、優悟にとっては十分だった。
いつだって秀一の事しか見ていなかった瞳が、あんな風に自分を想い涙を浮かべたのだから……今まで役割を果たしていたストッパーを壊すには、それで十分だった。
抵抗を示すわけでもなくキスを受け入れている舞衣を見つめながら、唇を重ねていた優悟がそっとそれを離す。
そして、舞衣が目を開けるのを待ってから告げた。
「おまえは……犬にでも咬まれたと思ってればいいから」
「ごめん」と告げた優悟が、再び唇を合わせ……そのままソファーに舞衣を押し倒す。
舞衣が動揺を表情いっぱいに浮かべたが、それが、執拗なキスにじょじょに消えていく。
優悟の手が服の中に入り込んできても、肌に直接触れられても小さな抵抗しかする気にならないのは、優悟の揺れる指先や唇が想いに溢れているからなのか……。
初めて受ける丁寧な扱いに、舞衣の下りたまつ毛が震えていた。
ふたりきりの部屋に聞こえるのは、舞衣がもらす小さな声と、ふたりの乱れた吐息。甘い雰囲気で充満した空気に舞衣が涙を浮かべながら優悟に手を伸ばす。
「あ……っ、優、悟……」
甘く溶けた声で、馬鹿みたいに何度も舞衣が呼ぶから、錯覚しそうになり優悟が苦しそうに眉を寄せる。
この行為に、伸ばされた手に、舞衣からの想いなんてものはないのに。
「ふ、ぁ……っ、ゆう、ご……」
その声を聞かされた耳から、そして触れた場所から溶かされていく感覚に陥り、優悟が舞衣の背中に手を回しギュッとその身体を抱き締める。
耳元で、は……っ、ともれる優悟の荒い息遣いに舞衣が身体を震わせ、もう何度目か分からない名前を口にする。
まるで、〝好き〟だとでも聞こえそうな声色に……優悟が舞衣の唇を塞ぐ。
一方通行の行為のハズなのに。今までのどの夜よりも甘く痺れてしまい……舞衣の存在を確認するように、優悟が何度も何度も舞衣を抱き締めた。



