ワケあり彼女に愛のキスを



「じゃあ、北川さんが城ノ内さんを気に入ってるってわけなのかな。あの時、城ノ内さんを庇った感じがなんとなく意味深に思えてずっと気になってたのよ」

女の勘って怖いな……と、自分を棚に上げて思いながら、舞衣がカチャカチャとカップを重ねていく。
その間も、木村は「でも、北川さんってクールで有名なのにあんな風に庇うなんておかしくない?」だの「あれから話したりとかしてないの?」だのと一向にその疑惑から離れる様子は見せず。

優悟との関係を勘ぐられるのは優悟にとってマイナスになると判断した舞衣が、苦笑いを浮かべながら木村を振り返った。

「木村さんも、知ってるんじゃないですか? 私が、菊池さんに想いを寄せていていいように扱われてるような女だって」

受付の間でその噂に対して聞かれた事は今のところない。
というのもそこまでの仲でもないし、噂が噂なだけにさすがに本人相手に本当かどうかを確認するのはためらわれたのだろう。
でも、聞かないだけで実際にはその噂は知っていたようで、木村は少し気まずそうな笑顔を浮かべた。

「あれって本当だったの? 内容が内容だからてっきり嘘かと思ってたけど……」
「どう噂になってるのかは知らないので、全部が本当だとかそういう事は言えないですけど……私が菊池さんを好きなのは本当です」

ここまで言う必要があったのかは分からない。けれど、木村が気にしているのは優悟と舞衣の間に何かあるんじゃないかという事だけだし、だったらこう言うのが一番手っ取り早いと思った。

この話題なら優悟に迷惑も掛からないし、舞衣の気持ちが他を向いていると知れば、それで満足なのだろうから。

「そうなんだ……。噂は確かに好き勝手言われてるけど、でも城ノ内さんなら大丈夫よ。可愛いし、菊池さんだって振り向いてくれると思う」

実際、舞衣の口から直接聞いた木村は、それ以上優悟との事は聞かずに、舞衣のフォローに回る。