今度は女性弁護士も一緒に来た。

 いかにもキャリアウーマンといった雰囲気を漂わせている。

 話しは、前日と同じ内容。

 私は初め、ただ聞くだけだった。

 話しが途切れ、間が空く。

 私の言葉を二人の弁護士がじっと待っている。

「どうせなら、最初からあんた達が弁護してくれれば良かったのに……」

「木山さん、まだ遅くないわよ」

「確かに控訴審で争う事は出来るけど、何十年も争わなくちゃならない……」

「その事なんだけど、木山さんの弁護を担当するのは、森山弁護士だけじゃなく、私も含めて他に二人、計四人の弁護団体制にして、集中審議で進めて行くつもりなの。目標は、一年以内。
 第一回目だけは、準備の関係もあるから、少し時間を頂く事になるけど」

「手紙、読みました……」

 私は前日読んだ森山からの手紙の話しをした。

「今迄、俺の方から手紙を書いた事は何度もあるけど、弁護士さんから手紙を貰った事は無かった……。しかも、あんな長い手紙……」

「字、汚くて読み難かったんじゃ?」

「確かに癖字だった……」

「今度はパソコンで綺麗に打ちますから」

 私は、この弁護士達を信用してみようと思い始めた。

「頼りにして、本当に良いんだよね?」

「ええ」

「頼みます」

 この一言が、すうっと自然に出た。

 若い弁護士の顔が綻んだ。

「頑張りましょう!絶対、勝てますから!」

 本当の戦いが、こうして始まった。