自白……供述調書

 自分のデスクに戻ると、遠目にじっと様子を窺っていた野間口妙子が寄って来た。

「森山君、私も出来る限り協力するわ。元々は私が先生に指示を受けてた事件だし」

「年明け早々の大仕事だな。何かついでにやれる事があったら、遠慮無く言ってくれ。死に水は取ってやるから」

 もう一人の弁護士である高橋も声を掛けて来た。

 普段と変わらぬ口の悪さを見せてる高橋弁護士だが、言葉には温かみが感じられた。

 何だか妙な気分だった。

 ついこの間迄は、事務所の中で自分一人だけが浮いているような気分で毎日を過ごしていたのに。

「さて、となりますと、これからは経費が掛かりますな……。
 森山先生、事前に仮払金をお渡ししますが、不足分が生じた場合の領収書は、面倒でもその都度提出して下さい。野間口先生のように溜め込まれると、事務処理が大変ですから」

 野間口妙子の方をちらっと見ながら、羽村が森山に封筒を渡した。

 封筒の中には当座の調査費用が入っていた。

 浅野の手回しの速さには驚く。

 動き出した。

 途中下車の許されない列車。

 ふと、暫く振りにあの小説を読みたくなった。

 弁護士を目指すきっかけを与えてくれたあの小説を……