自白……供述調書

 栗田の正月休みは三日と四日の二日間。

 代休を当てて、一般のサラリーマン並に何連休か取る事は出来るが、現実には無理だ。

 職員の絶対数が不足している。

 過剰勤務を上からはするなと言われていても、増える収容者の数に比例して、職務も昔に比べ複雑化している。しかも、未決の舎房担当の仕事は、皆やりたがらない。交代職員でさえ、配置換えを願っている者が多い。

 肉体的な疲労より、精神的な疲労度が高いからだろう。

 元が体育会系ばかりだから、身体を動かす任務は皆厭わない。

 皆、あの手この手を使い、未決の交代配置にならないよう手をうつ。結果、担当職員には最低限の休みしか取れない。

 貴重な休みの中、せっかく家族と過ごせると思っていても、最近では子供も親離れなのか、自分に寄り付かない。

 特に上の女の子は中学生だから尚更だ。下の娘もそろそろ思春期で難しい年頃になり、母親べったりになっている。

 子供は娘二人だけ。

 こんな事なら男を作るべくもうひと頑張りすればよかったかなとも思う。しかし、狭い官舎生活では子供二人が限界だ。

 今日も、朝からする事無しに部屋で寝そべっていた。

 娘達は揃って友達と遊びにでも行っているのだろう。

 火燵の上の蜜柑に手を伸ばそうとしたら、妻が代わりに取ってくれ、皮を剥き始めた。

 妻は、一房毎丁寧に白い皮を取り、それを夫に渡す。

 妻にすれば、滅多に家でのんびり出来ないのだから、せめて正月休みのこの二日間だけは上げ膳据え膳で心身を休めて貰おうと思っていた。

「ありがとう」

 微笑む妻の顔に、安らぎを感じた。

 つかの間の安らぎを打ち壊したのは、拘置所からの電話であった。

「あなた、警備主任の倉本さんから」

 何だろうと思い受話器を取る。

 栗田の顔色がみるみるうちに変わった。

 それを傍らで心配そうに妻が見つめている。

 直ぐに電話を切った栗田が、

「制服を出してくれ。行かなきゃならなくなった……」