自白……供述調書

 秋らしい過ごしやすかった時期も終わり、十二月に入った途端、すっかり冬の空気を感じるようになった。

 身寄りや知り合いの居ない私に、衣類の差し入れなど無い。着た切り雀の状態だから、まだ暑い盛りの八月末に逮捕された時の服装のままだ。

 寒さに耐えれず、受刑者が着る服を貸与して貰ったが、そんなものだけでは寒さを凌げ無い。

 最初に入った新しい建物の方ならば、空調が入っているからまだ耐えられるが、隙間だらけの古い舎房は東京とは思えない位に冷える。

 劣悪の環境は、健全な精神を蝕む。

 入り込む隙間風と冷たい空気。

 何十年と染み付いた受刑者達の臭い。

 そして、私に安眠をくれない妄想。

 幻覚の中で腐臭を放つ惨たらしい死者の顔。

 私の脆弱な精神を破壊するには充分過ぎた……

 来週は私に求刑が言い渡される。

 その量刑次第で、私の運命が定められてしまう……