自白……供述調書

 一旦止めたマウスを一気にスクロールし、森山は事件に関しての部分を読んでみた。

 被告人 木山悟 48歳

 前科5犯


 逮捕歴7回


 住所不定 無職


 罪名 強盗、殺人及び窃盗未遂並びに住居侵入

 被告人は、平成20年8月30日午後9時頃、杉並区〇〇町〇〇番地滝口すえ子居住の二階建て勝手口より侵入せしところを二階に居て、階下の物音に気付いた同住所住居人滝口すえ子に現認され、その場を逃走しようとしたが、近くの住人の協力の元取り押さえられた。

 通報で駆け付けた杉並警察署員西野忠行巡査他二名により窃盗未遂及び住居侵入の現行犯逮捕となる。

 逮捕取調べ後、同未遂容疑の他に余罪は無いかと杉並警察署員森幸治警部補が問い質したところ、同年8月9日に練馬区内で起きた強盗殺人事件を自供する。

 同事件の捜査本部である練馬警察署に同人の自供内容を照会し、供述内容と物的証拠及び目撃証言が一致した為、再逮捕。

 同事件の犯人と断定、書類送検されるも、検察調べの段階で一転無罪を主張したが、検察側はこれを退け起訴し、現在第一審公判中である。

 尚、公判中の証言も強盗殺人事件に関しては一貫して無罪を主張している。

 次回公判に於いて、検察側からの論告求刑及び弁護人の最終弁論が行われる予定。

 読み終えた森山は、暫くパソコンのモニターを見つめていた。

 一旦休めていた手を動かし、しきりにメモを取り始めた。

 それから夕方一杯迄昼休みも取らず、マウスを動かし、キーを叩き続けた。

 自分のデスクから漸く腰を上げた時、事務所には自分の他に二人しか残っていなかった。