「もう一つ付け加えると、木山裁判の検事、裁判官、こっちも副総監絡みになってる」

「ほ、本当っすか?」

「犯人でっち上げて、裁判でも絶対に負けない段取りまでした。己の保身の為には正義も糞も無い。警察官の指命もへったくれも無い奴らを相手にするんだ。それこそ差し違える位の気持ちでやって欲しいんだ。余程褌締めて腹括らないとな。という訳だ」

「アクさん、差し違えるには副総監位のキャリアじゃないと張り合いが無いぜ」

「ですね。ところで、川村逮捕に向けてこれからどういう段取りで?」

「うん、先ず川村のマークだが、キソウの強みで本間チャン、頼むよ。タモっちゃんと、中国人窃盗団の内偵をしてるという形でやってくれ。絶対に気付かれないようにな」

「大丈夫っす!任して下さい」

「小野田刑事は、波多野涼子の線から川村の様子を監視して欲しいのと、本庁公安部監査係や署長の動きを逐次知らせて欲しいんだ」

「了解しました」

「丹羽警部には、本庁内での副総監の動きと……」

「フダの件でしたら、地検に大学の後輩がおりますからそいつに頼みましょう。
私以上に骨っぽい奴ですから、少々の圧力が掛かっても屁とも思わないでしょう」

「何分、私が一番川村に近付いた人間としてマークされてますから、丹羽警部には苦労掛けると思います」

「承知してます」

「キャリアの連中を纏めて潰してやる」

「本間チャン、丹羽警部もキャリアだぜ」

「え、えぇ……どうもすいませんっ!!」

 この夜初めての笑い声が、四人の間に起きた。