本庁の応援に行っていた佐藤刑事が久々に捜査一課に戻って来ると、同じ一係の本間刑事が寄って来た。

 側に来るなり耳元で何事か囁いた。

 それに対し囁き返す佐藤刑事。

 耳打ちされた本間刑事の表情が一瞬緩んだ。

 直ぐに何事も無かったかのように振る舞う二人。

 周りの同僚達は何も気付いていないが、その光景をじっと見つめていた目があった。

 その目は、決して仲間を見るようなものではない。

 まるで二人を事件の容疑者であるかのように見つめる目。

 佐藤刑事と本間刑事は、そんな視線が自分達に注がれていた事など夢にも思っていない。