百合は、クラスのグループにも入っていない。


きっと百合のアドレスを知っている男子は俺だけだ。


そう思うとくすぐったすぎて、頬が緩むのを抑えられなかった。



それから、ときどきラインをするようになった。


とはいえ、俺はあんまりメールとか得意なほうじゃないし、

百合も普通の女子みたいに何でもないことでメッセージを送ったりするタイプじゃない。


だから、俺たちのやりとりは、基本的に調べ学習のことなんだけど。



でも、その中に少しずつ、


『今日は暑かったね』とか、

『部活おつかれさま』とか、

『晩ご飯は何だった?』とか、


世間話みたいな、雑談みたいなものが交じるようになってきた。


それが嬉しくて、でも照れくさくて。


少しずつ、でも確かに縮まっていく距離を、俺は感じていた。