*** 「おい、竜也」 劇が終わり、一息付く間もなく竜也を探す。 あの野郎…… あれは事故だ。 劇最大の見どころであるクライマックスシーン。 本当は〝ふり〟だけのはずだった。 なのに、だ。 竜也のせいで〝ふり〟が〝本物〟になった。 一応幼なじみの俺は、茉奈の恋愛事情はわかってると思っている。 といっても、茉奈の恋愛経験はゼロ。 キスなんてもってのほか。 俺にとっても茉奈にとっても、あれはファーストキスだった。 俺はいい。 でもアイツは……