家を出た私は、薬局に寄って必要そうなものを買って駅へ向かう。
ホームに着くと、列車が来るまでの間、急に不安に襲われた。

今来る電車に乗ってしまえば、もう引き返せないと思う。やめるなら、今。

だけど、頼れる人がいないって言われてしまうと同調する思いがあるから。
そうやって頼られていたことに生きがいを感じていたのは私で、広海くんをそうさせてしまったのは私にも原因があるのかもしれないって思ってしまって……。

ぐるぐると迷い淀んでいると、脳裏に浮かんだのは斎藤さんだった。

この行動は、私を守り続けてくれているあの人を裏切ることになるかもしれない。
スマホを取り出して、電話帳をぼんやりと見つめる。

頼れって言ってくれた。
それは初めてのことで、頼られるのと同じくらい、嬉しいものなんだってわかった。

……わかったんだけど、頼り慣れしてない私は、どの辺から頼っていいのか判断が難しい。まして、平日の昼過ぎ。普通なら仕事をしている時間。
それを邪魔することを考えたら、指一本で連絡することが出来ても簡単にそれをすることが出来ない。

大丈夫。何もなかったら部屋に入らずすぐに帰ればいい話だし、まだ明るい時間だし。

ひとり小さく頷き、車両に乗り込む。
どうしても斎藤さんが気になってしまって、目的駅に着くまでにメッセージを一通送った。