「そっ、そういうのじゃないよ」
「別にいいじゃないですか。〝タイプ〟の話ですよ。それとも、本気ですか?」
「ちっ、違っ……」
視線を正面に戻して表情を崩さない東雲さんは、口を小さく動かす。
私が慌てて否定し掛けると、彼女は前を通過するお客さんに、目を伏せて会釈をした。
動揺しながらも遅れて頭を下げ、視線を上げた時には、東雲さんはまたいつもの姿勢に戻っていた。
なんでもそつなくこなす彼女に感嘆の息を小さく吐くと、目を合わせないまま続けられた。
「日本の人は奥手な人が多いですよね。私なら押しまくりますよ」
可愛らしい声はいつも通りなんだけど、どこか闘志を感じるというか……。
獲物を駆るような鋭い目をした東雲さんの横顔を呆然と見つめる。
この雰囲気から察すると、東雲さん、今好きな人がいるのかな? 彼氏じゃなくて、片思いの……。
「そういうふうになれたらいいな、とは私も思うんだけどね」
「初めから受け身過ぎると、そのあともずるずるとなりそうじゃないですか?」
東雲さんが何気なく言ったことは抽象的だったけれど、なにか同調出来るものがあった。
きっと、今の私が当てハマってるからかもしれない。
そう思うと、次々と聞いてみたいことが出てきて、苦手だとあれだけ思っていた東雲さんにおずおずと尋ねてみる。
「あ、あの……その、例えば、なんだけど。その好きな人が、すごい束縛とかする人だったら……どうする?」
こういうふうに聞いてしまうと、もしかしたら私がまさにその状況に置かれているのだと勘付かれるかもしれない。
それでも、今まで誰にも自分の話をしたり聞いたりしたことがなかったから、この機会に他人の考えを聞いてみたくなった。
勇気を出した質問に、東雲さんは深く追求せずに首を傾げて考えてくれる。
「別にいいじゃないですか。〝タイプ〟の話ですよ。それとも、本気ですか?」
「ちっ、違っ……」
視線を正面に戻して表情を崩さない東雲さんは、口を小さく動かす。
私が慌てて否定し掛けると、彼女は前を通過するお客さんに、目を伏せて会釈をした。
動揺しながらも遅れて頭を下げ、視線を上げた時には、東雲さんはまたいつもの姿勢に戻っていた。
なんでもそつなくこなす彼女に感嘆の息を小さく吐くと、目を合わせないまま続けられた。
「日本の人は奥手な人が多いですよね。私なら押しまくりますよ」
可愛らしい声はいつも通りなんだけど、どこか闘志を感じるというか……。
獲物を駆るような鋭い目をした東雲さんの横顔を呆然と見つめる。
この雰囲気から察すると、東雲さん、今好きな人がいるのかな? 彼氏じゃなくて、片思いの……。
「そういうふうになれたらいいな、とは私も思うんだけどね」
「初めから受け身過ぎると、そのあともずるずるとなりそうじゃないですか?」
東雲さんが何気なく言ったことは抽象的だったけれど、なにか同調出来るものがあった。
きっと、今の私が当てハマってるからかもしれない。
そう思うと、次々と聞いてみたいことが出てきて、苦手だとあれだけ思っていた東雲さんにおずおずと尋ねてみる。
「あ、あの……その、例えば、なんだけど。その好きな人が、すごい束縛とかする人だったら……どうする?」
こういうふうに聞いてしまうと、もしかしたら私がまさにその状況に置かれているのだと勘付かれるかもしれない。
それでも、今まで誰にも自分の話をしたり聞いたりしたことがなかったから、この機会に他人の考えを聞いてみたくなった。
勇気を出した質問に、東雲さんは深く追求せずに首を傾げて考えてくれる。



