嘘と正義と、純愛と。

駅に着く頃には肩で息をするほど呼吸が乱れていて、ホームの柱に寄り掛かって深呼吸をした。
大きく息を吐くのと同時に、自分の足元へ視線を落とす。

……さっきは本当に失敗した。
まさか、よりによってカラータイツじゃない時にあんなふうに事故に遭うなんて。

後悔しても、もう戻ることは出来ない。

スカートを軽く握って落ち込んでいると、列車がホームに入ってきた。
私は顔を上げて、気分を切り替えるようと心がけながら車両に乗り込む。

発車した列車に揺られながら、懸命に頭の中をこの先のことで埋めようと考える。

それよりも、とりあえず、急いで広海くんのところへ行かなくちゃ。
また怒らせちゃったら……!

さらに先を想像して、ゴクリと喉を鳴らした。

怒らせたら、また、殴られるかもしれない。
そうしたら、また体に痣が出来て、誰かに見られて変に思われるかもしれない。

――斎藤さんのように。

ガタン、と大きく揺れた振動で、虚ろだった焦点を合わせて我に返る。

何考えてるの。
私が怒らせなければいい話だし、私が怒らせてるから悪いだけだよ。

そうだよ。
だって、乱暴されるだけじゃないもん。ちゃんとあとで謝ったりして、優しい時も……時々だけど、ある。

私に問題があるからそうなるだけで、広海くんは私を必要としてくれてるし、間違ってなんかないはず。

ゆらゆらと不安定に揺らぐ気持ちを強引に収めるようにして、広海くんに【もうすぐ着きます】とメールをした。