咄嗟に割り込んでしまったのは、斎藤さんにこれ以上迷惑をかけたくなかったから。
そんなの、悪意がなかったとしても、不法侵入や暴力だなんて言葉を吹き込んだら、たちまち噂が広がって、白い目を向けられてしまう。
それに、もしも万が一、本当に警察が絡んできたりしても困る。
そんなの、絶対阻止しなきゃ。
「お願いだから。もう、やめて。広海くん……」
哀願するようにその場にへたり込み、項垂れて呟いた。
こんなふうになるまでになってただなんて思わなかった。
感情の起伏はどんどん激しくなってはいたけれど、優しい一面もちゃんと残ってたから、きっといつかよくなるって思ってた。
昔の優しい広海くんを信じ続けなきゃ、私は立っていられなかった。
下げた顔が上げられない。
膝の上で、震える両手を組み、力を込める。
すると、私の肩にふわりと温かい手が置かれた。
斎藤さんは、私の手を解放しながら、広海くんへ鋭い声を投げかける。
「自分のことを棚に上げて、俺を脅すなんてな。どこまでも救いようのない男だ」
「茉莉が外部でなにも言わなければ、これは俺たちだけの問題だ」
「『なにも言わなければ』、ね。一応認めてるんだな。自分が彼女に何をしてきたのか。世間一般的によくないことをしていたって自覚が」
「手が出るのは、茉莉に原因がある時だけだ。本人もそれをわかって受け入れているなら問題ないだろ」
淡々と紡がれる言葉に脱力する。
やっぱり、私は広海くんとは一緒にいられない。
「茉莉。これが〝今の〟こいつだ。人は変わる。よくも、悪くも」
「うるせぇよ! 早く茉莉をこっちに寄越せ!」
落ち着いた声色で斎藤さんが言うと、反対に、荒げた声で広海くんが私たちへ近づいてきた。
目を向けると、広海くんが怒った顔で右手を私に伸ばしてくる。
肩を竦めて顔を背けると、斎藤さんが私の肩を支えて立たせると、守ってくれるように背中へと隠された。
「断る」
そんなの、悪意がなかったとしても、不法侵入や暴力だなんて言葉を吹き込んだら、たちまち噂が広がって、白い目を向けられてしまう。
それに、もしも万が一、本当に警察が絡んできたりしても困る。
そんなの、絶対阻止しなきゃ。
「お願いだから。もう、やめて。広海くん……」
哀願するようにその場にへたり込み、項垂れて呟いた。
こんなふうになるまでになってただなんて思わなかった。
感情の起伏はどんどん激しくなってはいたけれど、優しい一面もちゃんと残ってたから、きっといつかよくなるって思ってた。
昔の優しい広海くんを信じ続けなきゃ、私は立っていられなかった。
下げた顔が上げられない。
膝の上で、震える両手を組み、力を込める。
すると、私の肩にふわりと温かい手が置かれた。
斎藤さんは、私の手を解放しながら、広海くんへ鋭い声を投げかける。
「自分のことを棚に上げて、俺を脅すなんてな。どこまでも救いようのない男だ」
「茉莉が外部でなにも言わなければ、これは俺たちだけの問題だ」
「『なにも言わなければ』、ね。一応認めてるんだな。自分が彼女に何をしてきたのか。世間一般的によくないことをしていたって自覚が」
「手が出るのは、茉莉に原因がある時だけだ。本人もそれをわかって受け入れているなら問題ないだろ」
淡々と紡がれる言葉に脱力する。
やっぱり、私は広海くんとは一緒にいられない。
「茉莉。これが〝今の〟こいつだ。人は変わる。よくも、悪くも」
「うるせぇよ! 早く茉莉をこっちに寄越せ!」
落ち着いた声色で斎藤さんが言うと、反対に、荒げた声で広海くんが私たちへ近づいてきた。
目を向けると、広海くんが怒った顔で右手を私に伸ばしてくる。
肩を竦めて顔を背けると、斎藤さんが私の肩を支えて立たせると、守ってくれるように背中へと隠された。
「断る」



