蟲狩り少女

夕花ちゃんの家はあたしの家から車で3時間ほど行った、海の近くにある。


遠いから頻繁に会う事は難しいけれど、年に何度かおばあちゃんの家で顔を合わせている。


「今年からオープンしたばかりのお店でとても綺麗なんですって。里音行ってみない?」


「行きたい!」


あたしは即答した。


運動神経が悪くて泳ぎも苦手だから、海で泳ぐのは好きじゃない。


でも、夕花ちゃんのいる海の家があるならきっと楽しい。


「じゃぁ決まりね。里音、あなた水着を買わなきゃね」


「え? 学校のがあるよ?」


「学校のはダメよ。胸に名前が入っているから、恥ずかしいでしょ?」


そう言われてみれば、そうかもしれない。


友達と一緒に海やプールに行くことがないから、あたしはそんな事にも気が付かなかった。


「じゃぁ買いに行く!」


「そうね。さっそく行ってみましょうね」


と言う事で、あたしとお母さんは2人で出かけることになったのだった。