Darkness † Marker 4   【大禍時】

       ☆

「わっ!!」


事務所を飛び出して、左へ曲がった瞬間、出会い頭に誰かとぶつかり裕一郎は道路に尻もちをつく。


「痛―っ」


「お、裕一郎じゃねーか。大丈夫か?」


すっと目の前に差し出された手に、彼は視線をあげた。

頭にタオルを巻いた、スウェット姿の男が見下ろしている。



「あ、双瀬さん…おはよう」



「どうしたんだ、朝早くから慌てて。遅刻…って時間じゃ、まだないよな」

チラリと腕時計に目をやった双瀬は、裕一郎に手を貸して起こしてやりながら首を傾げる。


「えっと…その…」


口ごもる姿に、彼はピンときたようだ。


「その様子だと、まだ昨夜の件で河村と仲直りしてないのか?」


「仲直りって…別に喧嘩してないし」


「ふぅん、ならいいんだけどな」


いつでも見透かしているような双瀬に、裕一郎はバツが悪そうな顔をすると鞄を拾い上げる。


「オレ、学校に行かなきゃ」


「おう、気をつけて行けよ」


「行ってきます」


裕一郎は見送る彼に軽く頭を下げると、再び駅に向かって走りだした。

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